ひだまりと指先

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【Destiny2】+1up【サイト更新】

lyze.jpにて、【Destiny2】の創作小説をアップしました॑⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝⋆*

サイトの日記にも書いたのですが、ずっと前から孤独と影のあとのコスモスさんの心情を書いてみたかったんです。ただ、私自信がケイドさんがいなくなったことが信じられなくて、悲しくて悔しくて、辛かったんです。だから切り札を元に戻す任務も見ないようにしてました。 でも、それは『逃げる』ことになるんじゃないか?と考え直して、時間はかかりましたが、書ききることが出来ました。

 

私とコスモスさんの全ての思いをギュッと詰め込んだDestiny2‬*お題小説⑥『アガパンサス』は続きからでも読めますので、読んでくれると嬉しいです・:*+.*1/.:+

 

 

Destiny2*お題小説⑥

 

アガパンサス

 

 

 

 

 

一一あの日…私とケイドさんはいつも通りの任務を行っていた。 私自身ケイドさんとの任務は久しぶりだったので、平静を装ってはいたが嬉しさは隠しきれなかった。

 

 

エルダース・プリズン…囚人達が暴徒と化したそこは私達が着いた時点で、荒れ果てていた。 ペトラさんの力を借りたり、ケイドさんと協力しながら、敵を倒して行った。

 

最初は上手くいっていた。 本当に。 このままエルダース・プリズンを制圧できる…そう思っていた矢先に、ある男が脱走した。

 

それが…『ユルドレン=ソヴ』。後に私の宿敵となった男だ。

 

 

ユルドレンは…ケイドさんを手に掛けた。 ユルドレンとケイドさんの間に何があったのかは分からない。 深い因縁があったのだろうか? もしくはリーフの秘密を知っていたからだろうか? 私には分からないことだらけだった。 

嫌な予感はしていた。 ケイドさんと連絡が取れなくなって…奇妙な敵が私の進む道を拒み、ケイドさんのゴーストが死んだとゴーストから聞かされた時…どんどん嫌な想像は膨らんでいった。

 

 

 

そして…最下層で…ケイドさんが、倒れているのを見つけた時……私は、心の底から絶望した。

 

『もっと早く着いていればケイドさんを助けられたかもしれないのに』

 

重傷の傷を負ったケイドさんを見ながら、何度そう思ったことか。 ケイドさんは咳き込みながらも、私に向かって言った。

 

 

『お前のせいじゃない』

 

 

どうしてですか? ケイドさん? 貴方がこんなことになったのは……貴方と合流するのが遅れた…私のせいではないのですか?

ケイドさんにそう言葉を問いかけると、彼は首を横に振った。 エクソ特有の手が私の手を弱々しく握り締めた。

 

 

『いいか…? コスモス…よく聞け…俺がこんなんになったのは…お前のせいじゃない。 だから…自分を責めるんじゃないぞ? 俺と約束…できるよな?』

『……っ…』

 

 

私は首を縦に振った。 ケイドさんは安心したのか…同じように首を縦に振った。 ザヴァラ司令官とイコラさんに伝えてほしい言葉を私に伝えたあと……ケイドさんは、動かなくなった。

 

 

***

 

 

一一泣いている暇はなかった。 ユルドレンは私が何とかするしかなかった。 心の中で何度も自分に言い聞かせた。

 

 

『これは復讐じゃない。 ケイドさんのためにしていることなのだ』と。

けれど…人間は、自分に嘘をつくことなど出来なかった。 ユルドレンの配下であるバロン達に言われた言葉が頭から離れなかった。

 

 

『復讐したい?』と奇術師に話しかけられた時すぐに否定することは出来なかった。 

『復讐の旅を続けろ』とスパイダーの声が頭の中で響いては消えていった。 やがて…自分のやっていることは、間違っているのだろうか?私は…一体何がしたいのだろうか?

 

 

ガーディアンとしての『正義』を貫くのか。

 

最愛の人を奪われたことによる『復讐』だけを考えるのか。

 

2つの考えが頭を通り過ぎる度に思い出すのは一一ケイドさんとの思い出だった。

ケイドさんを奪ったのは…ユルドレンだ。 ユルドレンを報わせる為ならば、なんでもすると決めたのではないのか?

心の中で『黒い感情』が渦を巻き、私を見つめていた。

 

(そんなこと考えてはダメよ…! 私は、ガーディアンなのよ…!! 復讐なんて…してはいけないの…!!)

 

 

『黒い感情』が顔を出す度に…私はその先を考えることを放棄した。怖かったのだ。

もし…復讐することを認めてしまえば……『ガーディアン』としての私は死ぬ。

『死』とは恐ろしいものだ。 その人の人生は終わり、残された者はひたすら悲しみと苦しみに抗っていかなければならないのだから。

 

だから…私は、戦い続けた。 全てはユルドレンを《倒す》為に。

8体のバロン達との戦いは苛烈さを極めた。 バロン達は…私の事を『亡霊』と言った。 復讐を求める亡霊なのだと。 バロン達は私を嘲笑い続けた。 ケイドさんのためにユルドレンとバロン達を倒そうとする私を笑い続けた。

 

 

そんな事を言っても無駄だと思った。 私のすることは1つしかない。 ケイドさんを追い詰め、死へと追い込んだ彼らに慈悲はなかった。

一体一体を確実に倒して行った。 長い戦いの末…ようやくファナティックとユルドレンのみとなった。

これで、彼らを倒せれば…ケイドさんは喜んでくれるだろうか? 『よくやった』と褒めてくれるだろうか?

監視塔に行く船の中…ぼんやりと考え込んでいるとゴーストが話しかけてきた。

 

《正義か…復讐 ユルドレンは報いを受けるべきです。 でも…ガーディアン。 『なぜ』行動を起こすのか それは実際に『何を』するのかと同じくらい重要です》

 

「………」

 

ゴーストの言葉に…私は、目を見開いた。 彼は続けて言った。

 

《あなたが何を思っているのかは分かりませんが…覚えておいてください》

 

「………一一」

 

私は…何も答えることが出来なかった。 ゴースト…あなたは本当に、私が何を思っているのか分からないの?

視線だけでゴーストに問いかけても…彼は答えずに…前を見続けていた。

 

 

***

 

 

一一ファナティックを倒しても、私の心が晴れることはなかった。 アイツはバロン達を手に掛けた私に向けて、憎しみと怒りをぶつけてきた。

『仲間達を殺して、いい気持ちになれたか?』と問われた時…察したのだ。

 

復讐は復讐を産み…憎しみの連鎖は永遠と続いていくのだと。

ゴーストの言葉は『警告』だったのだ。 1歩踏み間違えてしまえば…私は、トラベラーの元に戻ることも…ガーディアンですら無くなっていただろう。

 

そして…ようやくユルドレンに辿り着いたと思ったが、彼の姿は無く、あったのは異形の怪物だった。 怪物に攻撃を加えれば加えるほど、中にいるユルドレンが苦しみ、もがいている声が聞こえたきた。 その声は…耳を塞ぎたくなるほどの絶叫だった。

 

『……っ』

(ここで…諦めるわけにはいかない!)

 

今は復讐のことは考えずに、ユルドレンを救おうと私は必死に戦った。 激しい戦闘の末…ようやく…決着はついた。

 

『………』

 

ユルドレンの手から、ケイドさんの『切り札』が地面に落ちた。 私は『切り札』を拾い上げると、咳き込んでいるユルドレンへと向けた。 そこへペトラさんも合流した。

 

追い詰められているはずのユルドレンは余裕の表情を見せていた。 彼は私を見つめながら言った。

 

『それは彼の銃…最後を見届けたのだろう』

 

一一心臓が高鳴ると共に…脳裏を過ぎったのは、苦しそうに咳き込んでいたケイドさんの姿。

 

『笑えるな。 光と暗黒の境はいつも紙一重なのだ』

 

ユルドレンは……私を見つめ、問いかけてきた。

 

 

『お前はどちらの側にいる?』

 

 

『一一一』

 

 

あの時は、すぐに答えは出なかった。 何故ならば…とても悔しいけれど…ユルドレンの言っていることは的を得ていたからだ。

 

けれど…今は違う。 もし…同じ問いを問われたら『光』だと答えることが出来るだろう。

 

 

では、何故答えることが出来るのか? その問いに応えることにしょう。

ユルドレンを倒してから、三ヶ月後のことだ。

やっとケイドさんのいない日常を生きることが出来るようになったある日…ようやく…ケイドさんの形見である『切り札』を直せる見込みが出てきたのだ。

ここまで来るのに苦労したが、自分自身を奮い立たせたり、ゴーストやアマンダに応援してもらったり…色々な人が私の事を応援してくれたおかげだ。

 

 

『切り札』を治すために…私は10個のパーツを集めるために荒れ果てた大地へと向かった。 大地というよりも…森といったほうが正しいだろう。ケイドさんが隠した宝箱。その中にパーツが入っていると共に…色々な人達に向けてメッセージが録音されていた。

バンガードの一員になるはずだったハンター、アマンダ、イコラさん、ペトラさん、サヴァラ司令官……ケイドさんの想いを聞いていると、懐かしくもあり、切ない想いを抱くようになった。

そして…10個のパーツを手に入れた時…私に向けてのメッセージが入っていた。

最初の言葉は『無口な奴』で始まったことに、思わず笑ってしまった。

そんな事を思っていると…ケイドさんは短い沈黙の後咳払いすると呟くように言った。

 

 

『お前にはネッススで助けてもらって以来感謝してる。 ありがとな。 相棒』

「………」

『お前はいつもシティに住んでる仲間や人々のために戦ってくれてる良い奴だ。 ガーディアンとして誇りに思っていいんだぞ?』

「………」

『あー…とにかくだな! 何が言いたいかと言うと……一一』

 

 

 

一一お前を好きになれて、よかったよ。コスモス

 

 

 

「一一一」

 

 

マスクの内側で、目を見開いた。

 

 

『世界で一番…お前のことを愛してる』

 

 

「………」

 

 

『もしも…俺が『遠い所』に行っても気にするな! まぁ…真面目なお前のことだから《俺の意志》を継ぐとか言い出しそうだけどな! いいんだよ…そんなことはしなくていい。

 

 

お前の好きなことをすればいいさ。 自由に生きたらいい。 俺に縛られるんじゃないぞ? 分かったな?』

 

「ケイドさん…! 私は…!!」

 

 

ケイドさんは先程の問いかけがなかったかのように『切り札は好きに使え』と言って、メッセージは途切れた。 

 

 

***

 

 

バンシーさんの元に『切り札』を持って行き、私の手に馴染むようになった。 『切り札』は本当に使いやすかった。 思い出のクロークを羽織り、『切り札』を使うと…まるで、ケイドさんが一緒に戦ってくれているようだった。

任務から戻った後…家に戻り、1息つくと…ケイドさんのメッセージを思い出すと一一涙が洪水のように溢れ出してきた。

ただ、ただ…ケイドさんの事を想って、泣いた。 傍にゴーストがやって来ると、私の頬に機体を寄せて、目を閉じてくれた。

 

 

「………」

 

 

あれから更に時は過ぎていき…暖かい季節になった。シティでトラベラーを見上げていると、青空に舞う花弁が目に入った。  きっと…季節が巡る度に、ケイドさんのことを思い出すのだろう。

そういえば…仲間のハンターから言われたことがある。

 

『ケイドさんの意志を継いで、私達を導いて下さいよ!!』

 

その言葉は…私が恐れていた言葉だった。 考え込んだ後…私は仲間のハンターを見つめながら言った。

 

『ありがとう。 そう言ってくれるのは嬉しいです。 けれど…ごめんなさい。 私はガーディアンとして…トラベラーを…シティを守っていきます。 ザヴァラ司令官とイコラさんのことは…私が支えると…ケイドさんに誓ったんです』

『………』

 

ハンター達は皆顔を見合わせていた。 戸惑うのは当然のことだろう。 それ以降彼らは私に何かを言うことは無くなった。

 

「これで…よかったんですよね……ケイドさん」

 

胸元にある青一色のコスモスのペンダントを優しく握りしめながら、ケイドさんに問いかけるように言った。 当時はひび割れていて、見る影もなかったが、アマンダに協力してもらって、直してもらったのだ。

彼の遺品は私の保管庫にしまっていた。 理由は私が彼の弟子だった事と恋人であることを知っているイコラさんの計らいと気遣いによるものだった。

 

 

「あなたは…好きに生きろと言ってくれた…なら、私は…ケイドさんがしたかったことを楽しんでいこうと思います」

 

そうだ。 最近黄金時代に咲いていた花々を調べて、綺麗な青い花を見つけたんです。

 

その花の名は…《アガパンサス》という名前なんですって。 花の意味は…一一

 

 

***

 

 

 

アガパンサス

(最愛のあなたへ捧げる『愛の花』)

 

 

***

 

 

 

 

END

*1: °ω°